まとめ
簡易版速度 Verlet 法によって、速度と位置を更新していくことで物体の運動をシミュレーションできることを確認しました。 さらに、バネの運動とクーロン力を応用した Force-directed アルゴリズムによるネットワーク構造の可視化について学修しました。 バネモデルだけではノードの重なりが生じたり、視覚的に優れた配置にならない場合も生じます。 そこでバネの力に加えてノード間の反発力を加えることでより視認性の高いノード配置ができることを確認しました。
全てのノードの組で反発力を計算する場合の計算量は となり、ノード数が多い場合には膨大な計算が必要となります。 ノード数が数千を超える大規模なネットワークの可視化においては、アルゴリズム改善による計算量の削減も重要です。 Barnes-Hut アルゴリズムを用いることでノード間の反発力の計算を 程度に抑えることができます。
また、非連結グラフの扱いや、ノードやリンクの持つ情報を視覚的に表現する方法について学習しました。 これらのテクニックを総合的に用いることで効果的なネットワーク可視化を実現する必要があります。
より詳しく知りたい人へ
本章で扱ったネットワーク可視化の方法は十分に実用的ですが、2000 年代前後までに提案されているおよそ 20 年以上前の手法です。 現在もレイアウト計算の高速化や、可視化結果の視認性向上のために様々な研究が行われています。
興味を持った人は以下の教科書の第 12 章を読むと、最先端の研究を理解する基礎が身につくでしょう。 Pre Print 版の PDF ファイルが無料でダウンロードできます。